歯垢
出典: オーラルペディア
2008年3月4日 (水) 16:10の版 (編集) Nanako (会話 | 投稿記録) (→歯石) ←前の差分 |
最新版 (2009年11月18日 (水) 02:43) (編集) (取り消し) sangi (会話 | 投稿記録) |
||
(間の 1 版分が非表示です) | |||
1 行 | 1 行 | ||
[[category:歯の基礎]] | [[category:歯の基礎]] | ||
- | [[画像: | + | [[画像:plaque.jpg|right|400px]] |
歯みがきをさぼったときに歯の表面がネバネバします。それは[[むし歯]]の最も重要な原因である歯垢の形成によるものです。歯垢は近頃、「プラーク」や「バイオフィルム」と呼ばれることもあります。その正体はむし歯菌や歯周病菌の塊で、1gの歯垢の中には約1000億個以上の菌がいるといわれています。約300年前の1683年に、オランダ人のアントニー・ヴァン・リーウェンホーク(Antony van Leeuwenhoek)によって、歯垢の中に丸い形の菌、細長い形の菌、ラセン状の菌がいると報告されています。 | 歯みがきをさぼったときに歯の表面がネバネバします。それは[[むし歯]]の最も重要な原因である歯垢の形成によるものです。歯垢は近頃、「プラーク」や「バイオフィルム」と呼ばれることもあります。その正体はむし歯菌や歯周病菌の塊で、1gの歯垢の中には約1000億個以上の菌がいるといわれています。約300年前の1683年に、オランダ人のアントニー・ヴァン・リーウェンホーク(Antony van Leeuwenhoek)によって、歯垢の中に丸い形の菌、細長い形の菌、ラセン状の菌がいると報告されています。 | ||
19 行 | 19 行 | ||
一般的に歯石のできやすい場所は、歯垢の取りにくいところ、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目です。そして歯垢と同じように歯石の中は細菌だらけです。特に歯周病を引き起こす原因菌のすみかとなっています。よって、歯と歯ぐきの境目に歯石ができると、歯茎が腫れ、歯周病になってしまうことがあります。なおそのままにしておくと歯を支えている骨が溶けて歯が抜けてしまうことさえあります。 | 一般的に歯石のできやすい場所は、歯垢の取りにくいところ、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目です。そして歯垢と同じように歯石の中は細菌だらけです。特に歯周病を引き起こす原因菌のすみかとなっています。よって、歯と歯ぐきの境目に歯石ができると、歯茎が腫れ、歯周病になってしまうことがあります。なおそのままにしておくと歯を支えている骨が溶けて歯が抜けてしまうことさえあります。 | ||
- | + | また、歯石の厄介なところは、一度できてしまうと、[[歯科医師|歯医者さん]]に取り除いてもらうしかありません。 歯と歯ぐきの健康を守るために、できてしまった歯石を取り除いてもらい新たな歯垢と歯石の形成を防ぐことが大切です。 | |
ちなみに古代人のミイラからも歯石が見つかっており、あのヒポクラテス(B.C.400)も「歯石は歯肉の炎症を引き起こす」と指摘しています。古代の人々も歯石によって引き起こされる歯周病に悩まされていたことがわかります。 | ちなみに古代人のミイラからも歯石が見つかっており、あのヒポクラテス(B.C.400)も「歯石は歯肉の炎症を引き起こす」と指摘しています。古代の人々も歯石によって引き起こされる歯周病に悩まされていたことがわかります。 | ||
32 行 | 32 行 | ||
- | [[画像: | + | [[画像:mhap.jpg|left|200px|thumb|㈱サンギ提供]] |
<mHAP>を使用し時のエナメル質表面に付着した歯垢を吸着除去しているモデル図 | <mHAP>を使用し時のエナメル質表面に付着した歯垢を吸着除去しているモデル図 |
最新版
歯みがきをさぼったときに歯の表面がネバネバします。それはむし歯の最も重要な原因である歯垢の形成によるものです。歯垢は近頃、「プラーク」や「バイオフィルム」と呼ばれることもあります。その正体はむし歯菌や歯周病菌の塊で、1gの歯垢の中には約1000億個以上の菌がいるといわれています。約300年前の1683年に、オランダ人のアントニー・ヴァン・リーウェンホーク(Antony van Leeuwenhoek)によって、歯垢の中に丸い形の菌、細長い形の菌、ラセン状の菌がいると報告されています。
歯垢の約75%が菌、そして約20%は菌が作り出した粘着物質(グルカンやフルクタンという多糖類)で、これが歯表面のネバネバの原因となります。この粘着物質は菌にとってとても重要で、外界からの影響を受けなくするバリアーの役目をします。ただしこのバリアーができてしまうからこそ、唾液が浸入できなくなり、菌の作った酸が歯垢の中に溜まり、歯の表面のエナメル質が溶かされ、むし歯が発生することがあります。歯垢を除去することは、むし歯予防の絶対条件なのです。
また、歯垢の中に含まれている一部の菌種が、心臓や脳などの疾病の起きた病変部に発見されています。このことから、現在の歯垢とこれらの病気との因果関係を解明すべく、多くの研究が進められています。じつは歯垢は、お口の中だけの問題ではないようです。
[編集] 歯石
「歯石」というと、「歯の石」と書くぐらいですから、硬いものを想像しますが、実はどうしてできるのでしょうか。
身体全体を考えると、腎臓や胆嚢などの臓器にも「石」ができます。腎臓結石の大部分は、しゅう酸カルシウムという化合物から石ができ、胆嚢結石の場合は、コレステロールが原因でできるそうです。では、お口の中でできる「歯石」は?
歯石のはじまりは、歯垢が最大の原因です。歯石がいきなりできるのではなく、まず歯の表面に歯垢ができて、放置されているとその歯垢の中に唾液からのカルシウムとリンが沈着し、どんどん硬くなっていくことで歯垢という塊になってしまいます。
一般的に歯石のできやすい場所は、歯垢の取りにくいところ、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目です。そして歯垢と同じように歯石の中は細菌だらけです。特に歯周病を引き起こす原因菌のすみかとなっています。よって、歯と歯ぐきの境目に歯石ができると、歯茎が腫れ、歯周病になってしまうことがあります。なおそのままにしておくと歯を支えている骨が溶けて歯が抜けてしまうことさえあります。
また、歯石の厄介なところは、一度できてしまうと、歯医者さんに取り除いてもらうしかありません。 歯と歯ぐきの健康を守るために、できてしまった歯石を取り除いてもらい新たな歯垢と歯石の形成を防ぐことが大切です。
ちなみに古代人のミイラからも歯石が見つかっており、あのヒポクラテス(B.C.400)も「歯石は歯肉の炎症を引き起こす」と指摘しています。古代の人々も歯石によって引き起こされる歯周病に悩まされていたことがわかります。
[編集] 歯垢の吸着除去
歯垢の形成は、エナメル質表面または獲得皮膜状に唾液中の細菌が付着して始まり、初期付着した細菌は、増殖し小さな半球状のプラークコロニーを形成します。プラークコロニーは、唾液からの新たな細菌の参入と増殖を繰り返しながら歯面を広く厚く覆うようになります。そして歯面を広く覆った歯垢は、う蝕や歯周病など様々な疾患さらに口臭の原因になると言われています。よって歯垢の形成抑制、除去することがう蝕や歯周病を抑制し、口腔の健康を保持させるための一手段になります。
歯垢の除去方法としてブラッシングやフロッシングが挙げられます。また歯ブラシが届かない箇所には、歯垢(むし歯菌や多糖類) を選択的に吸着し除去する成分を配合した歯磨剤を使用することで歯垢(プラーク)量を減少させることが可能となります。 一般に歯垢が付着して2~14日ごろから表層や内部で石灰化が始まり、しだいに石灰物の塊となり歯石になります。歯石は個人で行うブラッシングで除去することが出来ず、歯科医院にて機械的に除去しなければなりません。歯石になる前の歯垢の吸着除去が大切と言えます。 ホスピタウン No.125 P67 から引用
<mHAP>を使用し時のエナメル質表面に付着した歯垢を吸着除去しているモデル図