フッ素
出典: オーラルペディア
フッ素は、反応性の最も強い元素ですが、私たちの身近な自然環境では、主に岩石などの安定合物にしか存在しません。また微量ですが、海水(1.2~1.4ppm)、海草(2.3~14.3ppm)、小魚(8~19.2ppm)、お茶(約0.5~1.0ppm)などにも含まれています。海洋国日本の私達は、食生活で多くのフッ素を口にしています。ごく微量に我々の骨と歯の表面にも存在します。
フッ素のむし歯予防に関する歴史は、1900年代初頭にアメリカ・コロラド州に始まります。開業医のマッケイ先生が、同じ水源の飲料水を飲む人達に、むし歯の少ないことに気がつきました。当時の分析技術では、何が関与しているか分かりませんでしたが、後に技術の進歩によって、この飲料水にフッ素の入っていることが解明にされたのです。そして1930年代、アメリカ公衆衛生局の国内調査の結果、フッ素が含まれた飲料水を飲む地域の人達にむし歯が少ないことを明かになりました。これを機に、フッ素によるむし歯予防についての研究が世界中広がり、同時に口腔衛生におけるフッ素の利用が始まってきました。ただしフッ素の過剰摂取により、稀にフッ素症という歯と骨の異常が生じうるんで、各国ではその使用量は制限されています。
フッ素を利用したむし歯予防の具体的な方法としては、水道水への添加以外には、専門化によるフッ素の歯面塗布やフッ素を含む充填材などの使用、個人のホームケア剤としてフッ素配合歯みがき剤が上げられます。日本では歯みがき剤に配合されているフッ素は、フッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムと呼ばれるフッ素化合物で、フッ素量としては、1000ppm以下と薬事法で規定されています。
フッ素の口腔内の主な働きは、唾液によるエナメル質の再石灰化(=初期むし歯の自然治癒)を促進することです。またむし歯の原因である口腔内細菌による酸の発生を防ぐことが知られています。そのことによって、フッ素はむし歯予防効果のある薬用成分として認可されています。