再石灰化
出典: オーラルペディア
再石灰化とは、お口の中で常に起きている現象です。歯を脱灰から守る唾液の自然治癒のメカニズムです。ミネラル損失のため、その結晶構造がすかすかになっている歯の表層下脱灰層 (初期むし歯)に対して、唾液がカルシウムイオンとリン酸イオンを補給し、エナメル質の結晶を新しく形成し、元の健康な状態に戻す現象です。ちなみに、そのエナメル質結晶の構成成分はハイドロキシアパタイトです。
再石灰化を促進するためには、歯垢をブラッシングなどできれいに落とすこと、唾液が充分に歯の表面に接触するようにしておくこと、またフッ素や薬用ハイドロキシアパタイトを配合した歯みがき剤を使用することなどは大切です。
なお、お口の中で繰り返し起っている脱灰と再石灰化は、私たちの生活(特に食生活)に大きく左右されます。その様子をお口の中のpH状況を示すステファンカーブで見られます。
真中のラインがお口の中が中性な状態だとすると、歯の表面は食後酸性の脱灰の領域に入ります。その後、唾液の緩衝作用により再石灰化の領域に戻ります。間食などの少ない、規則正しい食生活ですと、脱灰と再石灰化とのバランスがとれ、むし歯になりにくい環境が守れます。しかしこの図のように、不規則にだらだらと食べたり飲んだりする食生活では、再石灰化に比べて脱灰の時間がほぼ同じ、あるいは長くなってしまうので、むし歯が発生しやすい状態になります。なお、就眠中は唾液の分泌量が低下し、再石灰化領域に戻りにくいので、寝る直前の食事や清涼飲料などをなるべくさけて、歯をよくみがくことが大切です。
[編集] 初期むし歯の再石灰化
初期むし歯(初期う蝕)は酸によって歯からミネラル(リン酸イオンやカルシウム)が溶け出し、歯質に脱灰が見られる(白濁・斑上部は見られるが実質欠損の認められない)状態です。 再石灰化とは唾液に豊富に含まれるリン酸イオンやカルシウムイオンがエナメル表層下に浸透して失われた部分に再び補充されることをいいます。 初期むし歯が進行するか改善されるかは、脱灰と再石灰化のバランスによります。脱灰が進めば、むし歯になり、脱灰よりも再石灰化が促進され、得られるミネラル量が健全な部分と同程度になれば脱灰の状態も回復されます。