歯の白さ
出典: オーラルペディア
クレオパトラ、楊貴妃、小野小町といえば、世界の美人の代名詞ですが、その中でも楊貴妃の美しさを称える形容詞に「明眸皓歯」(めいぼうこうし)という言葉があります。
「明眸」とは澄んだ瞳、そして「皓歯」とは白く輝く歯のことで、楊貴妃が活躍していた唐の時代から、歯の美しさが美人の条件だったことが分ります。では、なぜ私達の歯は「白く」見えるのでしょうか。
私達の色が見えるメカニズムは、物に当たって反射した光が目の網膜を通して大脳で色として認識されます。つまり反射した光を色として見ているわけです。「虹は七色」と言われますが、この「可視光(かしこう)」の中で私達は青から赤の範囲内で数千万の色が認識できます。
健全な歯では、表面のエナメル質を構成するハイドロキシアパタイト結晶(=エナメル小柱)が規則正しく並でいて、光の透過と反射が良好な状態です。その結果、エナメル質は半透明に見えます。ちょうど目の水晶体のコラーゲン繊維が規則正しく並んでいて透明に見えるのと同じ現象なのです。
瞳がキラキラ見えるように、エナメル質もキラキラと光沢感があるのです。なお、そのエナメル質の下にある象牙質の色がきれいに反映されるので、歯全体は文字通りの象牙色(乳白色)に見えます。
ただし歯の色は、その人の肌の色、歯ぐきや唇の色、周りの明るさなど、さまざまな要因によって個人差があり、薬物などの影響で象牙質がやや黄ばんでいる方もいらっしゃいます。
きれいな象牙質でも、表面のエナメル質がミクロの傷などでザラザラになったり、歯垢や着色汚れ、初期むし歯で濁ってしまうと、せっかくの白さが損なわれてしまいます。